設立趣意書

本協会は全国の鉄道技術者の有志を鳩合し、技術の進歩と技術者の向上発展を図らんとするものである。

思うに、我国は敗戦の結果として、この狭小なる国土の上に、この貧弱なる資源を基礎として、八千万同胞を養い、富ませ、発展せしめなければならぬ運命を担ったのである。そしてこの困難なる課題を解決する鍵は、科学技術の進歩向上以外にはないであろう。

ことに国民経済の血脈を司どる我等鉄道技術者の使命の一入重大なるを痛感するものである。また我国の科学工業が極度の破壊、圧縮を蒙った現状において、鉄道技術の研鑽は、将来我国科学技術全般の発展に対して、重要なる温床ともなるであろう。

顧みるに、過去においては、鉄道技術者の連繋は、必ずしも十分ではなく、ためにこの複雑、膨大なる総合技術を発達せしめるのに万全であったとは言い難く、延いては技術者の当然享くべき信頼を失っていた点があったことは否まれない。

以上の事情に鑑み、本協会は先ず、最も手近な、また具体的なる手段によって、広く国鉄、民鉄を通じ、あまねく各技術系統に亙り、親睦、連繋の道を開き、進んで従来鉄道技術の発展を阻害し来りし、あらゆる障害、隘路を打開し、将来、日本特有の技術を以て、世界鉄道文化に貢献するところあらんとするものである。

上記の趣旨により社団法人日本鉄道技術協会を設立し、鉄道技術の進歩発達と鉄道技術者の育成に寄与せんとする次第である。

昭和22年2月26日

日本鉄道技術協会設立発起人
久保田 敬一 近藤 義弘
井上 隆根  井澤 克己
立花 次郎  松下 幹雄
木島 虎藏  岡田  實
田中 茂美

設立年月日 昭和22年2月26日(1947.2.26) 社団法人許可 昭和22年8月9日(1947.8.9)